コラム【第36弾】ロイヤルカスタマーの育成
戦後流通は、メーカー→問屋→小売…このような流通形態が確立されており、私達消費者は有店舗である小売店から購入するという図式になっていました。
バブル崩壊以降、上記流通の垣根は希薄となり、利益改善・他社との差別化という観点から、小売はメーカーよりになり、小売も利益改善・利便性の観点から、有店舗から無店舗、ネット販売へと流通が変化をしています。
そして昨今、小売で言うと「アマゾン」の台頭が著しいのはご周知の通りです。
アマゾンは上記の観点プラス 即日配達という流通革新……このビジネスモデルが今の消費者には絶大な支持を得ています。
その結果、通販、量販小売業の多くは軒並み前年比割れを起こし、その積み上げはアマゾンへ………こんな流れが加速をしている訳です。
各社はアマゾンとの差別化を図る為、独自性の追求をしなくてはならないのは言うまでもない事ですが、そのポイントは「ファンの獲得」「ファンの育成」………いわゆるロイヤルカスタマーの創造という事になりそうです。
そんな中、独自の組織活動をし、顕著な伸張を見せている小売業があります。
それは、日本生活協同組合連合会……いわゆる生協です。
実にその組合員数は全国2178万人にも上ります。
実績を見ると宅配供給高は前年比1.4%増、個配前年比3.0%増、会員数前年比1.9%増で、世帯加入率は実に全世帯の37.9%を占めています。
アマゾンとは一線を画して独自路線の展開で成績を伸ばしています。
その要因を専務理事は「アマゾンは大きな脅威である事には違いない。
新しい物流システムを活用し、注文して1時間で商品が届く世界では到底戦えない。
私達の事業目的は、アマゾンのような利便性の追求では無く、安心安全をベースにした幸せの追求にあります。
そこを今まで以上に明確に打ち出せば、ご理解を頂ける方々も増え、生き残れると思っています。
生協は毎週定期的に組合員の訪問をしており、見守り活動など通じ信頼関係の構築を図っています。
そして商品は信頼関係のある組合員の声を反映して開発しています。
生協事業と商品への信頼がある点、消費者の方々とのコミュニティ……これがネット通販との大きな違いだと思います。」
以上のよりに述べられています。
外部環境の変化というのは、いつの時代でもある事です。
要は、如何にブレる事なく……外部の環境に流される事なく、自社のビジネスモデルを研ぎ澄ます事が出来るのか?
如何にブレる事なく事業目的を追求できるのか?
そしてその事業目的を理解して頂けるファンを創造し、如何に拡大できるのか?………これに尽きるのです。
あちらもこちらも八方美人的に笑顔をふり撒く時代は終焉を迎えています。
いわば不特定多数の人達に多数販売する時代ではないのです。
それはアマゾンのように大資本力のあるところに任せておけばよいのです。
独自の差別化を図る為には、ヨーロッパのように、又は老舗の和菓子屋のように、「その商品が欲しい…」「そのビジネスモデルがいい…」「そのサービスがいい…」………『その店がいい……』と喜んで頂けるファンを如何に創造して行くのか?…………に焦点を当て、活動をして行けばいいのです。
存在意義のある企業…そして独自の企業文化を追求する企業…………その愚直な活動により必ずファンは創造され、ロイヤルカスタマーの育成に繋がるはずです。