実るほど、頭を垂れる稲穂かな

皆さん、こんにちは!!

早、10月ですね。

本当に月日、時間の経つのは早いものです。

今年も残り3ヶ月、ラストスパートと行きますかぁ!!

さて、話は変わりますが、本社工場の眼下にある田んぼでは、黄金に輝く稲穂が実り始めています。

もうそんな時期なんですね。

「実るほど、頭を垂れる稲穂かな」

これは、人は実績を残し、偉くなればなるほど、素直に訊く耳をもち、人に対して謙虚に頭を下げなくてはならないと云う例えでよく使われる格言です。

私も肝に銘じ、常に頭の中に置いている格言の1つでもあります。

仕事の出来る優秀な人、一流と云われる人ほど謙虚で協調性があるものです。

人はある程度、仕事が分かり多少なりとも実績を上げて来ると自信がつきます。

ここまでは全然OK です。

実績を上げ、自信をつけ、次のステップアップした仕事に取り組んで行く……そうあるべきです。

しかし、ここからが問題です。

次にそれを進めて行く中で、過信をしてしまう人がいます。

「俺は周りの人より仕事が出来るんだ」……と。

どのランク、どのレベルで……。

こうなってしまうと、人の話に対して素直で謙虚に耳を傾けなくなってしまい、自らの成長を止め、お山の大将になってしまいます。

「実るほど、頭を垂れる稲穂かな」とは程遠い状態ですね。

これでは一流にはなれません。

この様な過信が何故?起こるかと云いますと、一言で言えば自身の置かれている周りの環境、そしてそこから来る自身の目標レベルの低さと云う事に起因しています。

例えば、ゴルフの場合、周りの仲間が初心者に近い人達で、自分は少しゴルフの実績があるとします。

その中で「俺はコイツらよりゴルフが上手いんだ」と過信してもそれは井の中の蛙で、世間一般のレベルから見た時、その人も決して誉められたレベルではないと云う事がままあります。

これは、自身の周りの環境と、そこに甘んじるが故に、自身の目指す目標レベルが低くなってしまっているからです。

「上には上がいます」これにはキリがありません。

一流のゴルファーとはどのレベルか?……そこを目標にした時、周りの環境がどうであれ、自身の高い目標に向かって一途に邁進する事になりますので、過信が生じる事はまずありません。

松山英樹選手らが歩んで来た過程を考えて頂ければ理解出来る筈です。

仕事においても同様の事が云えます。

今の現状の中で、多少実績を残したからと云って、世間で云う所のレベルはどうなんだろう?……これを最低基準として、それ以上の目標設定を自身に課して進まなければ、いつまで経っても過信だけしている2流レベルになってしまうのです。

その人にとっては居心地がいいのかもしれませんが……。

どうせなら、富士山の大将、ヒマラヤの大将を目指さなければなりません。

手前味噌で大変恐縮ですが、私は専務と云う肩書きを28歳で拝命しました。

当時の現状は、町工場の域を出ていない状況でした。

従って、当時の社員達は、頭が下がる位、本当に一心不乱に仕事をされていましたが、ただ指示があれば一生懸命作業をすると云う感じで、仕事を創造すると云うレベルには残念ながらありませんでした。

当時で云うと仕方のない事です。

その中で私自身が過信をして、「この人達より仕事が出来るのだから、俺が専務になるのは当たり前だ」と、お山の大将的に仕事をしていたのでは、世間が分からず、自身の成長を止め、真の協力者は現れず、大局的な組織貢献からしても会社を成長させる原動力にはなり得なかった事でしょう。

また、社長の息子だからと若くして専務になり、多少なりとも社員達より給料を余分に貰うと云うのでは、私自身、社員達に対して申し訳ないと云う気持ちが強くありました。

そこで、年若くして専務にして頂きましたが、「その役職を拝命したのだから、年齢は関係ない、世間一般の大手企業の専務とはどのレベルなのか?そしてそのレベルに早く追い着き、よりよい仕事を創造し、みんなの給料を上げ、社員の人達に喜んでもらおう」との目標を掲げ、遮二無二勉強をし仕事に邁進しました。

最初の1年目は、世間一般レベルを知りたく、年間数百人の業界外の人達に会い話を聞きました。

そのみなさまのお陰で世間・全体像そして自身の進むべき道が把握できた様に思います。

それから、次の柱になる新しい仕事の軸を創造し、その結果社員達を慰安旅行でハワイに連れて行く事が出来、今の本社工場の礎も築く事にも繋がって行きました。

当時を振り返ると「やらなければならない」と云う気持ちだけで、邪心や過信は頭の片隅にもなかったですが、万一過信の下、仕事をしていたのでは、現在のコシオカ産業はなかったかもしれません。

こんな事は極々、小さい出来事ですが、自分を過信せず、人の話に素直に耳を傾け、自身のあるべき姿を追い求め、そしてみんなの力を借りながら関わって頂いた全ての人達を幸せにする……自身の事は後回しにしてでも……上になればなるほど、こんな思いで仕事に取り組んで行かなければならないと思うのです。

まずは、周りのがどうであれ各々が過信せず、己のあるべき姿を追い求める……これが大事なんだろうと思います。

ある本にはこの様な一節があります。

「一流と云われる人が思い定めている夢と目標は、大抵、世界レベルでとてつもなくハイレベルな所をベンチマークしているものだ。だから、上には上がいる事はよく分かっているし、自分なんてまだまだですと常に謙虚でいるのだ。夢と目標を大きく持てば、人も組織も謙虚になれる。分からない事があれば、例え自分の判断が正しくとも、他の意見や可能性があると考え、素直に謙虚に自分より詳しい人に話を聞いたり、相談したり出来る。」

「素直で謙虚な心や協調性、コミュニケーション能力などを欠けば、まずいい仕事は出来ない。仕事はみんなでやるものであり、一人では出来ないのだから…」…と。

「実るほど、頭を垂れる稲穂かな」……。

時として人は打算や我欲に走る傾向にある訳ですが、仕事を……そして人生を……歩んで行く上で自身への戒めとして常に頭に置いておきたい格言です。