コインの裏側
皆さん、こんにちは!!
今週前半は各地共、久し振りに雨が続いた感じでしたが、昨日今日辺りから晴れ間が見られる様になり、日差しが回復し初夏並の気温です。
明日からゴールデンウィークの後半戦。
天気も良い見たいですので、大いにお楽しみ下さい。
さて、以前、面白い本をご紹介しました。
「世界の大富豪2000人が、こっそり教える人に好かれる極意」と云う本です。
今日もその中から含蓄のある話を1つご紹介します。
それは、「コインの裏側を見る力を持ちなさい」と云うモノです。
そうすれば、仕事の出来る人から信頼を得られ好意を持ってもらえるとの事です。
例えば、母親であるあなたに、娘と息子がいるとします。
ある時、母親であるあなたは、娘夫婦の家に遊びに行きました。 娘と楽しくおしゃべりをしていると、娘の旦那さんが洗濯物を取り込んでくれています。 あなたは「何とよく気のきく旦那さんだこと」と好意的に捉える筈です。
次の日、今度は息子夫婦の家に遊びに行きました。 同じ様に嫁と楽しくおしゃべりしていると息子が洗濯物を取り込んでくれています。 あなたは「家でもした事がないのに、内の息子にそんな事をさせるなんて」と否定的に捉えてしまうのではないでしょうか?
どちらも同じ行為なのに、立場に因って180度見え方が違うという事です。
全ては自分自身の捉え方に起因していると筆者は言われています。
これは、どちらが正しくどちらが間違いと云う主旨のモノではありません。
双方の立場、又は多角的な視点から物事を捉えられる人、これが「コインの裏側」と云う事です。
人は誰でも主観的に物事を見る傾向にあります。
一般的に若い時や世間を知らない時には、その傾向が顕著になります。
それが行き過ぎると、ワガママ、自分勝手と相手に映る訳です。
その時は、他からの視点や切り口、見方と云うモノを知らない訳ですから、本人にすれば、自身がワガママや自分勝手な事をしていると云う認識すらありません。
ただ、一方通行的に自分からの視点に因って言動をしていると云う事になります。
かくゆう私も友人達に言わすと「昔は随分ワガママや自分勝手でどうしようもないヤツ」らしいです。
今思うと、その時は上述の様に一方方向でしか見れていませんでしたので、自分がワガママや自分勝手な言動をしていると云う意識もありませんでした。
それが、ある事を切っ掛けで相手からの視点で物事を見れる様になりました。
それは、やはり仕事でした。
当時、当社はまだ町工場の粋を出ず、マニュアルやルールと云ったモノがないままに、それぞれが見よう見まねで職人的な仕事のやり方をし親父の指示で動くと云う状況でした。
私も大学卒業後、厳しい商社に3年勤め、会社に戻ったものの、その内の1人と云う感じで仕事をしていました。
親父の指示で動く訳ですから、完全な「指示待ち」状態ですし、場当たり的な作業になります。
親父が居る時は一生懸命働く、親父が外出しているとサボる、そんな繰り返しでした。
従って、年に幾度となく、親父の怒号「鶴の一声」が飛びます。
そうすると、暫くは一生懸命働く、しかしほとぼりが冷めるとまたサボる、そしてまた親父に怒られる。
こんな事ばかりでした。
私は率直的に「みんなアホとちゃうか、何回おんなじ事を繰り返すねん」とずっと感じていました。
私も親父視点からしか見れていなかったと云う事です。
何年たったでしょう……。
また、親父の怒号が飛びました、その時ふと「ちょっと待てよ、親父はいつも怒ってるけど、ゆうてる事は分かる、しかし、社員側からすると、ゆうてる事が分からないのか?やり方が分からないのか?情報が共有出来ていないのか?何をしていいのか?親父のゆうてる事を継続出来ない訳があるのではないか?」と考えました。
逆の視点から物事を見れる様になった瞬間でした。
そこで、当社初の会議を行い、親父の頭の中だけにあったモノをみんなで共有するところから始めました。
親父が何を考え、何を思い、何をする事にこだわりがあり、何をする事が逆鱗に触れるのか?また、具体的にどんな数字目標を持ち、時系列でどう考えているのか?
その後、親父の考えを踏まえ、生産計画(現在と違って、当時は生産性を上げる事が売上、利益に直結していました)とそれ基づく日々の役割分担とタイムスケジュールを作り、私が毎朝チェックをし、親父に報告する様にしました。
それにより、その日、自身達が何をやらなくてはならないのか?が明確になり、親父が外出していても生産に問題が出る事はなくなりました。
それ以降、その事に関して親父が怒る事はなくなりました。
更なる生産性の向上を目指して、6日間で生産していたものを5日間で生産する様にし、週休2日制もこの時に実現しています。
社員の方々は大変喜んでくれました。
業界ではかなり早かったと記憶しています。
私は、役職も無かったですが、親父の考えを具現化し、社員の方々の職場改善、給料アップを実現する、社長も社員もそして会社もハッピーハッピー、これがパイプ役としての仕事だと実感しました。
一方の視点からではあり得ませんでしたが、逆からの視点を持てる様になり実現出来たと思っています。
社員視点、会社視点、社長視点など、仕事に対する基本的な見方と云うモノは、この時に出来、今に繋がっています。
また、これらの見方が出来ると副産物もあります。
顧客や購買先とのコミュニティーも利害関係を抜きにして、とれる様にもなって行きました。
これにより、顧客視点や購買先視点と云った見方も備わります。
それまでは、半ば強権的に自分達の都合で発信していたモノが、相手の考えも理解した上で、説明、説得が出来る様にもなって行くわけです。
それが当たり前になると視野が広がり、時代視点、市場視点、世界視点、日本視点、政治視点、そしてマクロ視点、ミクロ視点と様々な角度から物事を捉えられる様になって行くものです。
恥を忍んで云うと、私生活においても、私自身、古風な所があり、「嫁は家事をするもの」「子育てをするもの」「結婚すれば、こちらの家風に合わすもの」なんて、今思えば思い上がりも甚だしい位の一方通行の視点でした。
しかし、仕事を通じて双方、多角的な視点で物事を捉えられる様になりましたので、いつのまにか?家内からの視点も何の違和感もなく考えてあげれる様になりました。
結婚当初は自分からの視点を押し付けるだけで、喧嘩も日常茶飯事でしたが、もうここ何十年もそんな事はありませんし、年甲斐もなく家内と手を繋いで出掛ける日々を送っています。
最近、社内では「社長目線」と云う事を管理職に盛んに言います。
いわゆる経営感覚と云う事です。
これはとりもなおさず社長からの視点で物事を捉えられる様になりなさいと云う事です。
どこの会社においてもそうだと思いますが、管理職は会社において、「要」の要職で、上から下からと大変な重責です。
私自身もサラリーマン時代、管理職時代を経験していますので理解は出来ます。
しかし、そこがまず、社員達の視点、そして社長の視点を理解し、そこに存在する課題を解決していかなければならない立場なのです。
どちらか片寄った視点に終始すれば、何一つ解決されないまま、どちらかが不満を抱く結果になってしまいます。
また、社員の方々も少し上の上司目線を持つ、それぞれが上位者の視点で物事を捉えられる、そして上位者も部下達の視点でも理解出来ている、この様な見方が無理なく双方が出来る様になれば、管理職だけではなく社員達で手を携える事になり、課題の具現化スピードも早まり、職場環境も大きく改善されるのです。
皆さん、目に見える表面上だけでなく、「コインの裏側」からも見れる力を養って行きましょう。