現場力

皆さん、こんにちは‼

今週はまた冬が逆戻りしたかのような寒さでしたね。

ただ週末は幾分か?寒さはマシになりそうですが‥‥‥‥。

それにしてもホントに寒暖差が激しいですね。

また暖かくなると花粉も多くなって来ます。

皆さん、体調にはどうぞご用心ください。

さて、話は変わりますが、昨今、「現場力」「技能のデジタル化」などという言葉を耳にします。

技術の流出が叫ばれ、熟練技術者達が引退をされていく昨今において、技能をデジタル化し、経験の浅い作業者でも熟練工に近いレベルの作業を行えるようにしようという試みです。

培ってきた技術の伝承という観点において、記録をしておくという事は大変有意義な事であろうと思います。

しかし、この「技能のデジタル化」だけをもって「現場力」の向上に繋がるとは言い難いと考えています。

戦後日本は経済成長の道を歩んできました。

何もないところからの出発です。

私達の先人達は、「欧米に追い付き追い越せ‥‥」このような志と使命感、そして余りある熱量を胸に、情報が簡単に手に入る現代とは異なり、僅かな情報をヒントとして、試行錯誤・暗中模索の中、失敗を繰り返し作り上げてきた技術です。

成功するまでの道程‥‥‥‥仮説→実行→検証→失敗→改善→実行→検証→失敗→改善‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

これらゼロから1を作り上げたプロセスで考えた事、実行した事、失敗した事‥‥‥‥‥‥これらこそ先人達の技術の源であります。

成功した技術だけをデジタル化する‥‥‥これではHOW TOにしか過ぎません。

マニュアル化された技術をただ踏襲するだけでは作業の域を出ないのです。

応用が利かないのです。

成功するまでの過程を理解していて、その技術を下に、新たな技術の進化をさせていく‥‥‥‥‥これが真の技術の伝承ではないでしょうか?

一方、「現場力」とは、決められた作業を行うのではなく、現場で働く人の改善力という事です。

トヨタでは主任になりますと、まず現場に半径1mの円を書かれ、「今日1日、現場責任者としてその円から動かず現場を見ていなさい」と言われるそうです。

そしてその日の夕刻‥‥「現場はどうだった?」と上司から聞かれます。

そこで「皆さん一生懸命働かれています‥‥‥」というような事を言うと、上司より大目玉を食らうそうです。

「お前は1日、主任として何をしていたのだ!問題意識が低すぎる‥‥一生懸命働いている事は分かっている。

現場において問題はないのか?改善する所はないのか?もっと作業者達が楽に間違いなく、効率良く作業をする方法はないのか?そう言う観点で日々の現場に立たなくては主任失格である」‥‥‥‥

トヨタでは毎日改善点が各現場からあがってくると言います。

毎日ですよ‥‥‥‥しかも1人何個も‥‥‥‥

これらを部課長は精査し、優先順位をつけ、解決策を考え、実行し日々改善しています。

これは何も個人スキルが高い低いの問題ではありません。

問題意識をもって仕事をしているのか?作業として淡々とした意識で仕事をしているのか?の違いだけです。

トヨタにおいては所謂「カイゼン」の文化が伝承されており、これが日々現場力の向上に繋がっているのです。

ここまでお話ししますと、これは生産現場だけの事ではないとお分かりの事だと思います。

その通りです!

この現場力の向上は、営業であれ、購買であれ、出荷であれ、経理であれ、どの部署においても同様の事が言えます。

例えば、営業における新規活動にしても、マニュアル化されたトークスクリプトを言うだけなら誰もが出来ます。

HOW TOです。

上述の「技能のデジタル化」と同様です。

誰かが試行錯誤をし、マニュアル化してくれた事で共有化がなされ、各営業マンは会社の代表として、ある一定のプレゼンを相手に出来るようになり、ある一定の基準以上からスタート出来るようになっているだけです。

これすら無ければ個々のスキルに頼る事になる為バラバラで、相手に対して会社としての価値が伝わったり、伝わらなかったりしてしまいます。

しかし、マニュアル化されたトークスクリプトをそのまま踏襲しているだけでは、それ以上にもそれ以下にもなりません。

「この言葉の方がより相手に分かりやすい」

「この順番でプレゼンした方が相手の理解を得やすい」‥‥‥‥‥‥‥などなど、日々現場で対峙する営業マンはより以上の精度を求めて活動しなければなりません。

1人1人の営業マンがその意識をもって活動する事で、様々な改善点が見つかるのです。

それを部課長は日々のミーティングで共有し、精査し、良ければ今までのトークスクリプトを改善し実行してみる‥‥‥‥‥これを繰り返す。

これは端的な例ですが、各部署において、このような活動が成されていると、その部署の現場力は間違いなく向上していくものだと考えます。

このような仕組みを構築してリーダーの下、実行していく文化を作り上げる事‥‥‥‥‥‥これが現場力向上の根本にあるのです。

これには先週お話ししました社会人基礎力‥‥「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」が大きく関わって来ます。

私達の会社でも現在新しい事業‥‥monocotoを軌道に乗せなくてはならないというミッションを進行中です。

所謂先人達のゼロから1を作り上げる過程に似ています。

今までにない事業ですので、決められた‥‥又は言われた作業だけをしていたのでは当然ですが前へ進むスピードは上がりません。

志(ビジョン)、使命感(ミッション)をチームとして共有し、余りある熱量と問題意識をもって活動し、その結果を日々共有して、改善すべき点は日々改善して行く‥‥‥‥‥‥‥私達もまた現場力の向上を求められているところです。